アガルートの行政書士講座の勉強方法で合格率が上がりにくいワケ

 

アガルートの行政書士講座は令和元年度の合格率を72.7%と発表しています。
この高すぎる合格率に疑問を呈している人が多いのですが、アガルートの行政書士講座が指導している勉強方法が、合格率の上がらないものばかりだからなのです。

行政書士講座の教材は、「テキスト」「講義動画」「過去問」「模試」「法改正情報」で構成されるのが普通ですが、一般的にどのような勉強方法を取れば合格率が上がるとされているのでしょうか。アガルートで推奨されている勉強方法と異なる点について調べていきましょう。

「テキスト」は、一般的に薄いものほど良いとされます。
テキストが厚いと持ち運びしにくくなりますし、何度も繰り返して読むのも難しくなるので、合格に必要最小限の情報が記述された薄いテキストを利用することが合格率アップの秘訣とされています。
しかし、アガルートの行政書士講座のテキストは厚いと合格体験記に書かれています。

「講義動画」は、すぐに理解できるものが良いとされます。
講義動画はテキストの内容を噛み砕いて説明するものなので、すぐに理解できるものでなければなりません。すぐに理解できなければ、視聴時間が長くなり、勉強効率が著しく落ちます。
しかし、アガルートの行政書士講座の講義動画は何度も視聴して理解するものだと合格体験記に書かれています。すぐに理解できるものではないようです。

「過去問」は、適度な難易度のものを繰り返し解くのが良いとされます。
過去問で何度も問われるのは、間違えてはいけない基礎問題なので、何度も繰り返して覚えこむ必要があるのです。難易度の高い問題は捨てるのが基本なので、解き方を覚えるのは時間の無駄です。
しかし、アガルートの行政書士講座には他の資格の問題を流用した「他資格セレクト問題集」があり、難易度が高い問題集だと合格体験記に書かれています。

「模試」は、数回受けてみてペース配分などを確認するべきです。
模試を何度か受けるうちに試験形式に慣れてきて、時間切れで取りかかれなかった問題があるというような状況もなくなります。
しかし、アガルートの行政書士講座の模試はたった1回しかありません。

「法改正情報」は、頻出なので確実に学習して正解するべきです。
法改正があった時は、高確率で出題されますが、判例もないので条文知識だけで答えることができるような簡単な問題が出題され、落としてしまうと合格がおぼつかなくなります。
しかし、合格体験記に法改正情報が役に立ったという記載はありません。

アガルートの行政書士講座は、「テキスト」「講義動画」「過去問」「模試」「法改正情報」全てにおいて一般に合格率が上がるとされる勉強方法と異なる勉強方法を採用しています。
アガルートの提示する勉強方法を採用してしまうと、一般的には合格率が落ちてしまう可能性が高いので、合格率が疑問視されているのです。

しかし、一般の方法とかけ離れているからこそ合格率が上がったという可能性も捨てきれません。1つずつさらなる検証を進めましょう。

アガルートのテキストが厚すぎる

行政書士試験では、テキストは持ち運びと繰り返し学習のため、薄い方が良いとされます。本当に薄い方が良いのでしょうか?
まず、行政書士試験は司法試験に比べてはるかに簡単な試験ということが挙げられます。司法試験は1万時間もの勉強をしなければならないとされますが、行政書士試験は司法試験の10分の1にあたる1000時間の勉強で合格できるとされます。
勉強時間が10分の1なら、テキストの分量も10分の1で良いと考えれば、テキストは必然的に薄くなります。

例えば、司法試験受験で使われる「内田民法」と呼ばれる内田貴著『民法1』は544ページ、『民法2』は680ページ、『民法3』は720ページ、『民法4』は576ページなので、計2520ページになります。行政書士試験のテキストとして、10分の1の量が適切だとすれば、252ページになるはずです。
252ページなら、紙質にもよりますが、厚さ1センチ程度の薄いテキストになります。これなら持ち運ぶのも楽です。

次に、行政書士試験は簡単な内容しか扱わないことが挙げられます。
行政書士の基本的な業務は書類の作成で、マンガやドラマで扱われるような争いのある法律問題を扱うことは出来ません。

争いのある法律問題を扱う弁護士は、クライアントが勝訴できるように様々な角度から分析するので、学ばなければならない知識は莫大な量になるのですが、行政書士の場合は、争うことがないものしか扱えないので、多くの知識は必要ないのです。
多くの知識が必要ないのであれば、知識の正確さが求められます。何度も繰り返して知識を定着させるために、薄いテキストを何度も読むことが良いとされるのです。

最後に、行政書士試験は競争する試験ではないということが挙げられます。
合格者数が1000人と決まっているような試験では、満点が1000人出てしまえば、例年ならトップで合格するレベルの得点でも不合格になってしまいます。

行政書士試験は、6割正解することができれば、原則として何人でも合格することができます。
難易度の高い問題を正解して他の受験生に差をつける必要はなく、6割に達すれば、6割も満点も同じなので、6割に達するだけの情報が入ったテキストで十分です。

以上から、行政書士試験では学ぶ量がそもそも少なく、知識の正確さが求められて、競争する試験ではないので、薄いテキストで何度も繰り返して知識を定着させると合格率が上がるという結果になるのです。

行政書士試験には薄いテキストが良いというセオリーは検証しても正しいことが導かれるのですが、厚いテキストが功を奏したケースを探してみると、アガルートの合格体験記にありました。
アガルートの行政書士講座を受講して合格した人の「薄いテキストでは不安」という意見は傾聴すべきものです。

単なる小麦粉でも、効くと信じて飲めば効果があるという「偽薬効果」というものがあります。たとえ完璧な薄いテキストができたとしても、「薄いテキストでは不安」と感じる人が使えば、不合格になってしまう可能性が高くなります。
このような不安症の方には、厚いテキストが合っていると言えるでしょう。

ただし、厚いテキストを使うなら、「内田民法」のような一流の学者が著した本を使う方が良いはずです。アガルートの行政書士講座の講師は法学部出身でもなく、行政書士試験に必要とされる知識以上の部分について、法的に正しく記載できるかどうかは疑問が残ります。関連企業にアガルート法律会計事務所があるので、弁護士の監修が入っているとは思いますが、実務家と研究者は方向性が違うので、学者が著した本を読むことをオススメします。

アガルートの講義動画・過去問の難易度が高い

一般的にテキストの内容を噛み砕いて説明するのが講義動画なのですが、噛み砕けば噛み砕くほど良いというわけではありません。

憲法の講義を始めるときに、「天皇とは何か」という内容で、最初の天皇が『古事記』『日本書紀』で神武天皇とされることや、天皇の呼称が始まったのは、推古天皇の時代、天智天皇の時代、天武天皇の時代の3説あることといった歴史から解説されるなら、何を学んでいるのか分からなくなってしまいます。
さらに、噛み砕き過ぎた講義動画は収録時間が長く、忙しい社会人ならほとんど講義を受けることができない状況になってしまいます。

逆に、テキストをそのまま朗読するだけのような講義動画の場合は、なかなか理解が進まずに、テキストを読んでいるだけの学習とほとんど差がないことになります。
アガルートの行政書士講座の講義動画は、「一度聞いて理解できないのは普通なので何度も聞いて理解する」ように設計されていると合格者は語っています。
口コミを調べても、テキストを朗読しているだけの講義動画ではなさそうなので、噛み砕き方が十分でないのか、そもそも講師が十分に理解できていないのでわかりやすい説明ができないのかのどちらかになります。

「講師が十分に理解できていない」ことなどあり得ないと思うかもしれませんが、本職の弁護士でも法律を理解していないような発言を見ることがあります。法律の数があまりに多いので、弁護士といえども全ての法律を把握することはできません。専門としている分野以外の法律に関しては正確に理解していないこともあるのです。

行政書士試験は、憲法・民法・行政法・商法・会社法と数多くの法律を扱うので、講師がすべて理解していないのは当然と言えます。
理解していない所を勉強し、ブラッシュアップしていくのが講師の役目ですが、「何度も聞いて理解しろ」では役目を放棄しているとしか思えません。

しかし、「何度も聞いて理解しろ」という勉強方法を称賛する合格者も少なくありません。
「何度も聞いて理解しろ」という勉強方法は、「理解しろ」とあっても、理解より暗記することが目的です。数学の勉強方法で、理解せずに解法を暗記するというものがありますが、理解するより暗記する方が得意という人はアガルートの勉強方法が合うでしょう。

暗記を中心とした勉強方法を提唱しているアガルートですが、「過去問」に関しては暗記を中心とせず、一貫しない教材開発が行われています。
アガルートの行政書士講座の「他資格セレクト問題集」には、行政書士試験より難易度の高い問題が掲載されています。難易度の高い問題を解答できるなら、難易度の低い問題は解答できると、安易に考えているのかもしれませんが、難易度の高い問題ができれば難易度の低い問題に解答できるとは限りません。
高校の理系で学ぶ微積分ができても、小学校で学ぶ鶴亀算が不得手な人もいますし、痛烈な打球を横っ飛びでファインプレーした野球選手が、何でもないフライを落すこともあります。

難易度の高い問題を解くより、同じ難易度の問題を何度も解いた方がミスの確率を減らすことができるので、過去問を何度も解くことが合格に直結する勉強方法なのです。

ただ、「難易度の高い問題を解いていたので自信が持てた」という口コミを軽視するわけには行きません。
行政書士試験に不安が強い人は、過去問を何度も解いてミスする確率を下げるより、不安によるミスを減らした方が効果的です。
テキストと同じく、不安症な人に合っている過去問と言えます。

アガルートの模試が1回だけで法改正情報の口コミが少ない

合格間違いなしと言われるような人でも不合格になることがあるように、試験は水ものと言われます。十分に勉強したはずでも不合格になってしまう人は、試験慣れしていないことが多いのです。

したがって、模試を数多く受けることは、年1回のチャンスしかない行政書士試験の受験生にとって非常に重要なことです。
しかし、アガルートの行政書士講座には1回分の模試しかありません。これに対して合格者もかなり不満があるようで、他社の模試を利用したという口コミが多くなっています。

アガルートの行政書士講座は不安症の人に合うようカスタマイズされているように見えますが、ここに来て大きなデメリットが見つかりました。やはり行政書士講座そのものに一貫性がありません。
さらにデメリットを探すと、法改正情報の口コミが見られないことが挙げられます。

法改正があった時は、高い確率で出題されます。改正されたばかりの法律は判例もなく、条文知識だけで解答できるような出題になるので、模試でピッタリ当てることも可能です。
行政書士試験では落とすことのできない法改正情報の口コミが見られないのは明らかなデメリットですが、不安症の人は法改正そのものが不安の原因になってしまうので、あまり触れないようにしているのかもしれません。

以上から、「テキスト」「講義動画」「過去問」「模試」「法改正情報」全てにおいて合格率を上げるためのセオリーに反しているのですが、不安症で、理解するより暗記する方が得意という人には合っていると考えられます。極度の不安症ではなく、法律を理解したい人は、アガルートの行政書士講座を避けるべきでしょう。